アメリカ

ちょい前のドラマ「WEEDS〜ママの秘密〜」

ゆとりが一番好きな海外ドラマ「WEEDS〜ママの秘密〜」について少し語ります。

WEEDS〜ママの秘密〜

ゆとりはNETFLIXのヘビーユーザーです。
そんなゆとりがNETFLIXで10周はしたドラマが、
「WEEDS〜ママの秘密〜」

★★★★概要★★★★

夫に先立たれて思春期の息子2人を抱えた美人のシングルマザー。
アメリカで中流階級の生活を維持するため、
選んだ職業はなんと大麻の売人

設定こそぶっ飛んだドラマですが、最初の数話を観て見くびっていました。
最初は、主婦がコソコソ売人活動を頑張って、
周りのママたちにバレそうになって大変・・・!
みたいなドラマかと思ってましたが、
主人公の徐々にぶっ壊れていく理性と、
頭がバグった仲間・家族によって
物語はどんどんメチャクチャな方向に。

シーズン3までは、平凡な主婦の皮を被りつつなんとかやれていたナンシーですが、
・競合による脅し
・DEA(麻薬取締局)捜査員との恋愛〜結婚〜ナンシーの裏切り〜捜査員からの復讐
・ギャングとの交際
・息子2人がどんどん壊れていく
・なぜか助けを請うたギャングに街が焼き払われる
により、普通の主婦ではいられなくなります。

シーズン4では、メキシコとの国境の街で心機一転。
そこで晴れて大麻ビジネスにどっぷり浸かってしまうわけですが、
ビジネスのために、市長兼裏の顔は麻薬組織のボス:エステバンと恋に落ちます。
そのエステバンがすごくいい男なのですが、
メキシコからの人身売買にも手を染めていることに嫌気がさしたナンシーは、
エステバンをギャング組織ごと裏切ってしまいます。

シーズン5では、
裏切りがバレて殺されそうになるナンシーの妊娠が発覚(父親はエステバン)
息子ができて大喜びのエステバンにより、ナンシーの裏切りは有耶無耶になりますが、
エステバン周辺の重要人物とトラブルが起こり、
なんとナンシーの息子がその人物を撲殺してしまいます。

シーズン6では、ギャング・FBIからの逃走劇です。
メチャクチャなドラマですが、シーズン6は完全にぶっ壊れた展開の繰り返しです。
もはや何も収束しそうにないほどメチャクチャになってしまったものの、
終盤、追い詰められたナンシーのある行動で、
物語は一度リセットされます。

シーズン7・8では、波乱万丈な展開ですっかり肝の据わったナンシーと、
残った仲間・家族と共に、物語は静かなクライマックスを迎えます。
「みんなが少し幸せで、少し惨め」なジエンドです。

WEEDSの魅力

  • 美貌で乗り切る強いママ
  • 頭がバグった、愉快で憎めない登場人物
  • 選曲センスが素晴らしい
こんな感じです。

美貌で乗り切る強いママ

劇中、様々な危機に見舞われるナンシーですが、
持ち前の女性の魅力で乗り切っていきます。
強い女性を見ると前向きな気持ちになりますね。

頭がバグった、愉快で憎めない登場人物

登場人物がみんな個性豊かで飽きません。

 

主人公:ナンシー
美人なママ。
最初は周りのバカな男たちに振り回されつつ裏ビジネスを頑張るママという印象でしたが、
実は一番ブッとんでいて、ワガママで、ビ○チな一面を持つ。
母親として家族を守ろうと奮闘するが、全部裏目に出てしまう。

ナンシーの亡き夫の弟:アンディー。
物語当初はトップレベルのトラブルメーカーだったものの、
中盤からは周りのぶっ壊れ方が酷すぎて比較的常識人的なキャラクターになってしまう。
ナンシーの息子2人の父親のようなポジションで頑張る姿には心打たれます。

ナンシーの長男:サイラス
反抗期真っ盛り。
割とトラブルを起こし、生意気な態度にもイラつかされますが・・・
それでも魅力的に感じてしまうのは、彼の甘いルックスと綺麗な筋肉!!!
濡れ場の数は登場人物の中でトップクラス。
シーズン4で髪を切って以降が更に魅力的です。
バカだけど。

ナンシーの次男:シェーン
物語初期は純粋で声変わり前の可愛い男の子でしたが、
時折サイコな部分がちらほら。
シーズン4で声変わりして以降はどんどんサイコさに磨きがかかっていきます。
(ナンシーが付き合っていたギャングのおじさん連中に色々仕込まれすぎたのか・・・)
シーズン5最後で、ギャングの重要人物を撲殺してしまい、
そのせいでナンシー一行はギャングとFBIから逃げ回る羽目になります。

クズを絵に描いたような男:ダグ
もともと、ご近所さんでナンシーの大麻ビジネスのお得意さんだった、
人間性の一番大事な部分が丸ごと欠けている会計士。
全てをナメくさった言動でイラッとすることも多いですが、
シリアスなシーンでもなんだか笑える雰囲気にしてくれるのは彼です。
こいつの頭の中を見てみたい。

選曲センスが素晴らしい

洋ドラにはよくありますが、
WEEDSは毎回エンディング曲が違います。
その選曲センスが毎度素晴らしいのです。
この曲キッカケでハマった曲は数え切れません。
例を何曲か↓↓↓↓↓

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クリエイターはあの「Orange Is the New Black」も手がけたジェンジ・コーハン

NETFLIXで有名なドラマといえば、
あの熱狂的ファンをたくさん生み出した
Orange IS the New Black」(以下OITNB)がありますね。

ジェンジ・コーハンというクリエイターが手がけていますが、
OITNBの前に彼女が手がけていたのがこのドラマです。

OITNBも素晴らしいドラマですが、
ゆとりの中ではWEEDSが僅差で勝っています。
OITNBは社会的な影響力が強く、
人種問題・移民問題・囚人の更生問題などあらゆるテーマが盛り込まれていました。
いろいろ考えさせられるドラマでしたが、
それに対してWEEDSは頭を空っぽにして破茶滅茶な展開をただ楽しめます。

かと言ってどちらが優れているという話ではないのですが・・・
一つ言えるのは、
WEEDSが好きな人は間違いなくOITNBが好きになる
OITNBが好きな人は間違いなくWEEDSが好きになる
ということ。
どちらかしかみていない人は、もう片方も是非!!!
ジェンジ・コーハンは偉大です。

最後に

「面白いドラマは?」と聞かれて一番にゆとりはこのドラマを挙げます。
日本では全然知名度ないので、語れる人がいないのが残念・・・。
このドラマを好きな方、是非語り合いましょう!!!

追記:

この投稿についてツイッターにお知らせしたら、
吹き替えサイラス役の清水裕亮(しみずゆうすけ)@i_can_you_can27 さんに
リプライ・リツイートいただけました!嬉しい!

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ドラマ 2019/10/27morishi

予想は覆された・・・NETFLIXオリジナル映画「ELI/イーライ」

なんとなく気になっていた、NETFLIXオリジナルホラー映画の「ELI/イーライ」。観てみたので、早速ネタバレ含む感想をあげていきます!

なんとなく気になっていた、
NETFLIXオリジナルホラー映画の「ELI/イーライ」。
NETFLIXオリジナルって、
ドラマも映画も本当に当たり外れ激しいので少々不安なのですが・・・
離脱することなく2時間観終わったので、
ネタバレ上等で語っていきます〜〜〜
あらすじを順番に紹介していきます。(緑字はゆとりの声です)
NETFLIX掲載の紹介文
自己免疫疾患に苦しむ11歳のイーライは、病気を何としても治したい両親に連れられて、実験的治療を受けるために、とある隔離クリニックにやって来る。
公式ページ、予告編はこちら↓↓↓↓↓↓
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イーライの病気、治療の旅

物語は、7歳の男の子:イーライがいきなり病気を発症する回想から始まります。
急に咳き込んで倒れ、肌が真っ赤に変色・・・。
肌が焼けるようだと叫びをあげるイーライ。

そして、4年後の現在。

隔離施設に向かう道中のイーライと、父:ポール、母:ローズ
イーライは、途中のホテルでもビニールハウスのようなものの中で隔離されています。
外に出るときは防護服を着用し、袖や裾はビニールテープで密封という厳重装備。
かなり治安の悪い地域に宿泊していたらしく、
ホテルから車に移動する際に柄の悪い大人たちにからかわれ、火薬を差し向けてきます。
それから逃れようと走るイーライですが、転んで防護服に穴が!!!!
外の空気が防護服の中に入ってきた瞬間に発作を起こし、
みるみるうちに肌が赤く染まるイーライ。
母は急いで防護服をビニールテープで塞ぎ、リラックスさせようと話しかけます。


「ゆっくり息してイーライ、ママを見て。思い出して、誕生日ケーキの匂い。あの匂いを吸い込むの。
 ローソクを消して。さあ、吹き消して。
 いいわ。願い事をして。何をお願いした?」


イーライを落ち着かせるためのいつものリラックス術なのでしょう。
ようやくイーライの発作は収まり、顔色もよくなりました。
落ち着いたイーライたちは、車で病院へ向かいます。

ゆとり「母親のこのシーンはすごく愛を感じるんですが、対照的に父親からは若干冷たいものを感じます。
 乗り込んだ車がオンボロなので、「この車ポンコツだよ」とイーライが漏らすのですが、
 それに対する父親の言葉は『ポンコツはお前だ』ですもん・・・。
 親子の冗談だと父親は笑ってごまかすのですが、病気で苦しむ子供に対してなかなか辛辣です・・・
 イーライをリラックスさせるのは母のみですし、
 父は金のことを気にしてばかりなのも気になります・・・」

屋敷で治療を始めるイーライ

イーライたちは、霧を越えて、森の中の大きな屋敷に辿りつきます。
玄関の監視カメラの前に立っただけでドアが開き、スピーカー越しに医師からの挨拶が。
「外からの汚染を防ぐ厳重体制で屋敷内は守られているので
まずは除染室を通って屋敷の中に入るように」とスピーカー越しに指示を受け、
除染室を通ってたどり着いた部屋で待っていたのは、
にこやかな笑顔の女性3人。
ホーン医師と、看護師のバーバラマリセラ

ホーン医師に屋敷を案内されながら、
イーライと両親は屋敷や治療に関して説明を受けます。

説明内容をざっというと・・・

  • 治療について・・・

イーライの症状は、体が厄介な免疫グロブリンを過剰に生産している状態から起こるもの。
(組み換え活性化遺伝子の異常)
エンコードしたウイルスを使用し、それを修復するのが治療の内容。
治療は三段階に分かれて行われる。

  • 施設について・・・

治療のため、イーライと両親は別の部屋で寝る。
施設内は完全に除染されているので、防護服は脱いでも良い。(実際、大丈夫だった。)
一部、未浄化の部屋があるので入ってはダメ。空気は漏れないようになっているからこちらは大丈夫。
施設は病院でもあるが、ホーン医師たちの家でもある。
シャワーの水も浄化されているので、浴びても大丈夫(実際、大丈夫だった)

  • ホーン医師について・・・

医者になって25年だが、この施設は3年前に始めた。
大勢を治療した実績あり。
「全員治った?」というイーライの質問に対して、
「全員治った」とは答えず、「心配ないわ。あなたを治してあげる」とはぐらかす。


ホーン医師の説明を一通り受けたイーライは防護服を脱ぎ、
久しぶりに母とハグできるようになります。
久々のシャワーも浴びることができました。

眠りにつくイーライですが、
一人でいるはずの部屋に人の気配を感じるようになります。
よく眠れず、翌朝医師に報告するものの取り合ってもらえず。
モヤモヤした気分のまま、治療の第一段階が始まります。

治療の内容は、なんか痛そう・・・
麻酔はされているんでしょうけど、
意識はある状態で背中を切り開かれて背骨にパンチで穴を開けられ・・・
朦朧としている状態で器具を眺めていると、
鏡状になった器具に、怪しげな人物が映っているのをみてしまうイーライ。
恐怖を感じるイーライですが、そのまま意識を失ってしまいます。

意識が戻ったイーライは、拘束具で治療台に固定されていました。
それを眺めているホーン医師と看護師2人。
体が熱く苦しくなっていき、医師に訴えますが、効いてきた証拠だと聞いてくれません。
悶え苦しむイーライ。
皮膚が赤く染まり、血管が浮き上がり・・・見るだけできついです。
そのまま、イーライは気を失ってしまい、気づくと拘束具を解かれ、点滴をされて一人で寝かされていました。

点滴を自力で外し、起き上がると、窓に何かを投げつけられる音が。
窓の外を確認すると、見知らぬ女の子が手を振っています。
興味を持ったイーライは、立ち入り禁止エリアだと言われていた場所を通って、
女の子とガラス越しに対面できる場所にたどり着きます。

ゆとり「この女の子、よく見たらNETFLIXドラマ:ストレンジャーシングスのマックス役の子やないけ!」

女の子:ヘンリーとイーライは意気投合します。
ヘンリーが火を起こすマジックを披露したり、イーライの身の上話をしたり・・・
ヘンリーを気に入ったイーライは屋敷の中に招待したがりますが、
ヘンリーは消極的。
ここの医師に嫌われているし、この家は何かおかしい。あの医師は信頼するな。そうヘンリーは言います。

何かがおかしい。屋敷、医師、治療内容・・・

完全に浄化された屋敷の中で、治療に専念するイーライですが、
屋敷も、医師も、治療内容も、何かがおかしい。

おかしいところ

  • 屋敷

変な幽霊のようなものが出る。
次第にエスカレートするようになり、襲われるようになる。

  • 医師・治療内容

苦痛を伴う治療なのに、一向によくなる気配がないどころか悪くなっていく
「全員治った?」というイーライの質問に対して、
「全員治った」とは答えず、「心配ないわ。あなたを治してあげる」とはぐらかす。

屋敷や医師・治療内容について不信感を訴えても、両親・医師共々取り合ってくれません。
そのまま、過酷な第二段階の治療を受けるも、状況は悪化していきます。

唯一、ヘンリーは親身に話を聞き、
またもや「前にも治療しているペリーっていう子と仲良くなったけど、その子は治療の第三段階で消息不明だ」と意味深なことを言います。
完全に医師を信じられなくなったイーライですが、またもや得体の知れないものの襲来を受けます。
見えない何かに、浄化されていない外の空気が入ってくる場所に無理やり締め出され、間一髪で医師により救出。
しかし医師を信じていないイーライは、「ペリーのことなんで黙ってたの?」と医師に詰め寄ります。
医師はまたもやはぐらかし、イーライの疑念は確信へと変わりました。

そして、幽霊のような何かが毎回文字等で「LIE」というメッセージを残していること、
イーライを屋敷から出そうとしていたことを思い出し、
実は幽霊のような何かは、イーライを傷つけようとしているのではなく、助けようとしているのでは・・・?と考え始めます。
 

屋敷の謎をつきとめるイーライ。そして・・・

何か証拠が欲しいイーライですが、暗証番号で入室制御された医師のオフィス部分には入れません。

そして幽霊のようなものが執拗に書き殴っていた「LIE」の文字が、ひっくり返すと317と読めることに気づきます。
医師たちが寝静まったであろう時間にオフィススペースの電子鍵暗証番号に317を入れると…ビンゴ。
医師のオフィスに忍び込み、今までの患者のカルテを発見します。

何人かの治療の経過写真を見ると、酷い有様でした。
どの子も酷くなっていくどころか、完全に死んでいる状態や、もはや人間とは呼べない姿のミイラになっている写真

恐怖し屋敷から逃げ出そうとするイーライですが、医師や父親に捕らえられてしまいます。

母親は辛うじて医師たちに疑問の目を向けて割とイーライ側の味方ですが、父親は完全に医者の味方です。

イーライを捕らえた医師たちは、イーライを無理やり拘束し、第三段階の治療を強行しようとします。

イーライへの治療が強行されようとしているとき、母は偶然、これまで治療を受けていた子供たちの見るも無残な姿の遺体を発見し、我が子を救いたい一心で、医師にナイフを向けます。
しかし、完全に医師側の夫にあっさりナイフを渡してしまい、イーライへの治療が続行される羽目に。

治療といいますが、そこからは完全にキリスト教の宗教儀式でした。
実は医師や看護師はキリスト教のシスターで、
第一段階・第二段階の治療は辛うじて遺伝子治療ではあったものの、
第三段階の治療は子供に取り付いた悪魔ごと子供を殺し、悪魔から魂を守るというもの。

ゆとり「やべええええカルトかよ!!!そう来たかー」

聖水と呼ばれるものをイーライの体に振りかけると、ジュワーっという音と共にイーライの肌は赤く染まります。

ゆとり「聖水・・・・・・?それ聖水???酸じゃないの???もうやめてええええ」

悶え苦しむイーライに、医師もといシスターはナイフを突き立てようとします。

イーライ、覚醒。イーライの正体は・・・

その瞬間…

ナイフはイーライの体寸前で止まりました。

そのナイフを止めたのは、他でもないイーライ自身(の超能力)。
超能力でナイフを持つ医師の手を操り、そのまま医師自身にナイフを突き立ててしまいます。
イーライを制圧しようと看護師もといシスターたちが薬の入った注射器を持って近寄りますが、注射器を念力で易々と破壊

もう、イーライの顔は完全に悪魔になっていました
逃げ出そうとする医師・看護師2人を念力で宙吊りにし、怒り狂った声で「お前らは僕の身体に何を入れた!」と叫びます。
母親が言うには、「聖水よ・・・ただの聖水・・・」とのこと。

だとすると、ただの聖水にあそこまで反応するイーライは何なのでしょうか?

僕は何者なんだ?」とイーライは母親に詰め寄ります。
もはや、医師や看護師は宙吊りにされて恐怖に悶えているだけの人です。

「私たちの子よ」と答える母親ですが、イーライは「嘘だ!」と激昂。
その瞬間、周りの看護師たちはイーライの能力で瞬時に炎に包まれます。

もう大体想像はつきますね、イーライはおそらく…

母親は、なかなか子供ができないことに悩んでいました。
夫だけでは母親の願いを叶えることができず、
神に祈りました。しかし叶えてくれず。
そして、母親は禁断の手段…悪魔に祈ったそうです。

イーライの実の父親は悪魔。
父親には似ないと約束したけど、結局嘘だったそうです。
悪魔はいつでも嘘をつくものですね。  

なんとなく、父:ポールがイーライに対してあまり愛情を持ってなさそうな様子に合点がいきました。
ポールの子ではなく、悪魔の子だったのですから。

母と話すイーライを、背後から攻撃しようとするポールですが、イーライに念力で顔を破裂させられ、あっさり死んでしまいます

生き残ったのは、母親のみ。
恐怖に怯える母親に近寄り、どうしたもんかと母親の顔を覗き見るイーライ。

イーライは「どうしてもあなたがほしかったの。ママを許して・・・」と泣く母親の頬に手を触れ、
その手で、母親の首にかかった十字架のペンダントを引きちぎります。

すっかり悪魔になったイーライは屋敷を焼き払いながら、怯える母親を連れて外に出ます。
生身の体で外に出たのは何年振りか。
外の空気に触れた瞬間、イーライの顔は普通の子供に戻っていました。

「来たね、待ってたよ」と、イーライたちに外から声をかけてきたのは、どっからか持ってきた車に寄りかかったヘンリーでした。
彼女もまた、イーライと同じ悪魔の子
父:悪魔の子育ての方針は「自立が大事」とのことで、お互い助けない決まりだったようです。

結局、イーライとヘンリーは母親を信用することになり、
運転手として連れていくことにしました。
行き先は、父である悪魔のいる場所。

恐怖でパニクって車のエンジンがかけられない母親に、
イーライは無表情で語りかけます。
「ママ、息して。深呼吸。ふかーく吸って。ローソクを吹き消すんだ。願い事をして。」
覚えていますでしょうか?これはこの映画の最初、母親がイーライのパニックを抑えようとしていた、リラックスの手法。二人の立場が完全に逆転してしまったことを表していますね。

イーライ、ヘンリー、母親を乗せた車が悪魔のいる場所に向けて走り出したところで、エンディング。
 

感想

最初は、「怪しげな治療をするマッドドクターの屋敷から脱出するために子供が頑張る話かなあ」と思っていました。
ところがどっこい、イーライが悪魔の子供だったんですね・・・。
どんでん返しなんでしょうけど、全てが唐突すぎてどんでん返しって感じがあまりなかったですね。
悪魔化したイーライが母親に詰め寄るシーンで、宙吊りにされた医師看護師もといシスターたちが周りをぐるぐる回ってるシーンは、なんかシュールで少し笑ってしまいました。
いきなり炎上して悲痛な叫び声をあげているシーンはちとキツかったですが・・・。

映画としては私は割と好きでした。
このくらいのレベルの映画がNETFLIXのスタンダードになったら、毎日退屈しないんだろうなあ〜

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映画 2019/11/11morishi

「ビッグバン★セオリー」シーズン10がついにHuluにきたーーーーー!さっそくビンジウォッチングしてみた感想【バリバリネタバレ】

ネタバレ上等で、ビッグバン★セオリーシーズン10を紹介していきます!

ついに12/1よりhuluにビッグバン★セオリーのシーズン10の配信開始が来ましたね!
告知を受けて12/1を楽しみにしていたゆとり。
12/1の0時から即視聴開始。

そして、現在3周目。仕事の合間にずーっと見ています。

ネタバレ上等で、シーズン10を紹介していきます!


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レナードとペニーの、ちゃんとした(?)挙式

シーズン9最終話の続きとなるのですが、レナードとペニーの挙式が行われます。
シーズン9最初でもこの二人は結婚式を挙げていますが、
わりとギクシャクしていたし勢いでやって参列者もいなかったし、
ちゃんとした結婚式エピソードが観れたのは良かったです。
ペニーの母・兄が初登場。
ペニー母は、兄の犯罪歴を周りにどう思われるかでピリピリしていたようですが、
シェルドン母×レナード父×レナード母のアレコレ、空軍からの連絡でハワードパニック、その他諸々でみんなそれどころじゃないし、
割と空気のような存在としか思われていなかった印象です。
ペニー母は「犯罪歴を気にしないいい人たちね」と好意的に解釈したようだけど・・・

シェルドン・レナード・ハワード、空軍の機密プロジェクトへの参画

これもシーズン9から引っ張った件ですね。
軍事的な極秘のプロジェクトに結局参画することになったシェルドン・レナード・ハワード。
いきなり最低限な情報のみ与えられてプロジェクトに半ば強制的に加えられ、
いろいろ苦労しつつ第一段階まで作業を終える3人ですが、
またもやいきなり、空軍が「あとは我々が」と、横から全て奪い去っていきます。
もとはシーズン9で「ハワードがちゃんと子供を育てていけるように」という思いで始めた研究ですが、
横からかっさらっていった軍は、ちゃんと3人に報酬を与えるのでしょうか・・・?
後味悪くなっちゃうのはちょっと嫌だし、ちゃんと別の形でもいいから3人が報われるような形になってほしいもんです。

ハワード・バーナデットに第一子誕生

ワーナーのシットコムの前身「フレンズ」では何度もあった「出産」シーンですが、
ついにビッグバン★セオリーでも・・・。
「フレンズ」では
ロスの前妻、フィービー、レイチェル、エリカ(モニカとチャンドラーがもらう子供の親)と、計4名の出産シーンがありました。
どれもホロリと泣けるような感動的なシーンばかりでしたが、
ビッグバン★セオリーはとにかく最初から最後まで笑いばかり。
生まれた子供(女の子です!)の名前は、ハレー彗星にちなんだ「ハレー」ちゃん。
こういう場合の赤ん坊って普通は可愛いもんなんですが、
ハレーちゃんのお披露目はシーズン10ではなし!(声のみ)
しかも、声がこの世のものとは思えないほどのブサイク・・・。
ハワードのママに似たのか、バーナデットの本性に似たのか・・・。
バーナデットとハワードは主にラージとスチュワートを巻き込みながら、ハレーのお世話にてんてこ舞い。
シーズン10のバーナデットは終始不安定ですね。出産、子育てと大変ですからね。

レナード(というかレナード役者のジョニー・ガレッギ)激太り

レナード、こんなんでしたっけ?
めちゃくちゃ太ってませんか?
顔の肉のつき方もすごいですが、あの腹・・・・・・・!!!
腹がわかりやすい格好(Tシャツだけとか)のときとか、
腹がぶよぶよなのがめちゃくちゃわかります。
レナードってひ弱なオタク設定なんですけど、
ラージの妹とチャットHしているときとか、
肌に優しくないセーターを脱ぎ捨てるときとか、
めちゃくちゃがっちりした強そうないい体型してんなーと思ってたのですが、
今回はなんでしょう・・・
デブなオタクになるキャラ作りならいいのですが・・・

シェルドン・エイミーの同棲開始、そして衝撃のラスト

シェルドンとエイミーは同棲を始めます。
きっかけはエイミーのアパートの水漏れ事故が起こったことで、ほんの数週間・・・という話だったのですが、
これをきっかけに
・ペニーとレナードはレナード・シェルドンのアパートで
・シェルドンとエイミーはペニーのアパートで
それぞれ一緒に暮らすようになります。
シェルドンの人間性も、シーズン10で大きく変化します。
エイミーからの愛情表現を割と抵抗なく受け入れるようになったり、
エイミーへの愛情表現がこれまでにないほど豊かになったり・・・。

そして、衝撃のラスト。
エイミーがプリンストン大学の研究に参加することになり2人は遠距離恋愛になるわけですが、
エイミーの留守に、シェルドンはラモーナ(シーズン2でシェルドンにつきまとっていた女の子)と再会します。
ラモーナは、再びシェルドンに猛アタックを始めるのですが、鈍いシェルドンはそれに気づかない様子。
周りが「やばいやばい」と騒ぎ始めるものの、シェルドンは「アホなこと言うな」と一喝。
しかし、ついにラモーナが研究室でシェルドンに迫り、いきなりキスをします。
キスをされたシェルドンは「ちょっと失礼」と研究室を退室し、
タクシーに乗り、飛行機に乗り、訪れたのはプリンストン大学のエイミーの研究室。
「エイミー、エイミー、エイミー」とおなじみの3回ノックに驚いたエイミーがドアを開けると、
そこには指輪を掲げて片膝をついたシェルドン。
その瞬間、ゆとりは号泣しました。
やっぱり、ビッグバン★セオリーの最重要なキャラはシェルドンなんですよね〜
他のどんなシーズン10のエピソードよりもインパクトのあるシーンでした。

感想

感想

いいシーズンでした。
しかし、子供を持ったり同棲を始めたり、ラージやスチュワートが引っ越したり、
いろいろ変化があるシーズンでしたね。
みんながどんどん大人になっていくのが、少しさみしかったり。
いつものメンバー(シェルドン、レナード、ペニー、ハワード、ラージ、バーナデット、エイミー)が集合するシーンが少なくなってきたのもやっぱりさみしい。
シーズン11以降はどうなるのでしょうか。
次の配信はまた来年なのかな〜
本国ではもうシーズン12(最終シーズン)まで終わってるのにな〜
早く全部通して観れるようにならないかな〜


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ドラマ 2019/12/03morishi

「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」を語る

暗いニュース多くて嫌になる・・・。そんな2020年ですが、私はこのドラマに癒されることにしました。

みなさま、コロナ禍は収まる気配がありませんが・・・ご体調いかがでしょうか?
GWも緊急事態宣言の真っ最中。
緊急事態宣言終了後も、現状ではお出かけは良い選択ではありません。
(緊急事態宣言明けたら自粛を全解禁してもいいみたいに思ってる人もいますが、安全のためには今は大人しくしましょうね)
外に出ることができない今、ずーっとドラマをみています。
そんな私が今ハマっているのは、
ディズニーチャンネルで2006年〜2011年まで放送された、
「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」
アメリカで大ヒットして、
映画化も大成功したこの作品。
ティーンが対象みたいな感じですが、今の鬱々した世の中では、
こういうドラマが元気をくれます。
では、ドラマの紹介・魅力について語っていきましょう!

ハンナ・モンタナとは???

ディズニー・チャンネルとABCで2006年〜2011年に放送されたテレビドラマです。
シットコム(シュチュエーションコメディのこと)として人気を博したほか、
主演のマイリー・サイラスが一躍スターになったドラマです。
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主人公は、ティーンの女の子:マイリー・スチュワート。
元気でおっちょこちょい。日本の「ちびまるこちゃん」みたいなキャラクターです。
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1つ特殊なのは、
実はマイリーには「大人気アイドル:ハンナ・モンタナ」というもう一つの顔がある、ということ。
本当に大人気で、「ハンナ・モンタナのコンサートのチケット持ってる」というだけで同級生が殺到してくるレベル。
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普通の女の子とスーパーアイドルという二重生活を送るマイリーは、
自分のアイドルとしてのもう一つの顔がみんなにバレて、
みんなの見る目が変わってしまうことを心配しています。
家族以外にはアイドルとしての自分の正体は絶対ナイショ
アイドルの時はブロンドのカツラで変装。(バレないのだろうか・・・)

そんなハラハラな生活を送るマイリーですが、
ある日ライブに来た親友:リリー
自分がハンナ・モンタナだとバレてしまうところから物語は始まります。

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「ハンナ・モンタナ」の魅力

ゆとりが思うハンナ・モンタナの魅力ってこんな感じですね。
  • しょうもなさがいい
  • マイリー/ハンナ が可愛い
  • 冴えない主人公の裏の顔は・・・みたいな設定はみんなの憧れ

しょうもなさがいい

これはシットコム(シチュエーション・コメディ)全般に言えることですが、
内容がしょーもなくて、だらだらしているだけで面白いです。
ゆとりは、鬱々映画等を見た後にシットコムを見る時のあの落差がたまらなく好きです。
なんというか、しょーもない雰囲気とバックの笑い声で暗い気持ちがぶっ飛ぶあの感じ。
ほぼ1話完結型で、ちょっとながら見するだけでも癒されます。
普通のコメディと違って、バックの笑い声で笑いどころがわかりやすくなってるのもいいですね。
あと、明らかにセットとわかるチャチな舞台もGood。
普通の面白いドラマはリアルさに引き込まれるような魅力がありますが、
面白いシットコムドラマは、吉本新喜劇を観にいったような魅力で、ゆとりを引き込んでくれます。

ハンナ・モンタナについては、ストーリーの肝である「マイリー=ハンナだと知られたら大変!」みたいな茶番(笑)が、
単純だけど面白いです。
素顔を隠すためにパイを顔面で浴びたり、男子とデートで自分のライブに行くことになり(相手はハンナの正体を知らない)、
間奏の間に着替えて客席の彼の元に戻ったり。

マイリー/ハンナ が可愛い

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ちょっとドジで冴えない(設定の)マイリーも、
天真爛漫で華やかで歌の上手いハンナも可愛いです。
笑顔が可愛いっていいですね。橋本環奈も同じような理由で好きです。
笑顔以外にも、キレ顔も結構好きです。
大げさな表情使いが絶妙。

ついでに言えば、お父さん役のビリーも超絶イケメンです。

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実は、マイリー役の子の実の父親です。
こんなイケメンがパパで、ドラマでも親子役を演じるってどんな気分なのでしょうか?

ハンナの歌がいい

スター設定のハンナ・モンタナですが、
さすがスターだけあって歌は上手い!そして曲もいい!

まずは、
おなじみ全シーズンでOPとして活躍した曲「The Best Of Both Worlds」。
聴いてるだけで元気になってきます。

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次に、劇場版で披露したこの曲「The Climb」。
故郷の人たちには自分の正体を明かした上で、マイリーとして歌った曲です。
毎度泣きます。
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そして、最終シーズンで披露された「Wherever I go
ファイナル効果も相まって、聴いただけで胸が熱くなります。

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この三曲聴いてみて、「いいな」と思ったそこのあなたに、是非このドラマをお勧めします。

冴えない主人公の裏の顔は・・・みたいな設定はみんなの憧れ

ごくせん」しかり、「静かなるドン」しかり、
スーパーマン」しかり、「秘密のアッコちゃん」しかり、

「裏の顔」というのは物語の王道ですね。
バレたら困る」けど、「実はバラしたい」みたいな葛藤もありつつ・・・
そういうムズムズって、感情移入して観るのがすごくハマってしまいます。

「普通の女の子の生活をしたい」という思いから、
ハンナ・モンタナの正体をナイショにしているマイリーですが、
普段はちょいダサ扱いの女の子。
可愛いんだけど、クラスの派手な女の子から馬鹿にされているのですが、
その派手な女の子たちはハンナ・モンタナの大ファン。
そんなムズムズを思う存分味わえるドラマです。
 

まとめ

コメディとして、癒しとして、音楽として、
いろんな角度から楽しめるこの作品。
私はDisney THEATERという、
ディズニー作品のサブスクリプションサービスで楽しんでいます。
初月30日間は無料で、私は今月半ばに契約したので、
GWの外出自粛はこのドラマに浸っていようと思います。
まだハンナ未経験の方、昔みていた方は、
GWはハンナ・モンタナと過ごしてみませんか?

(旅行やお出かけはダメ!!!!!!!!!!!絶対!!!!!!)

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 2020/04/22morishi

【ネタバレ注意】映画「CODA あいのうた」感想〜音のない世界の住民との距離感〜

現在上映中のアメリカ映画「CODA あいのうた」の感想です。

注)以下、この記事では聴覚障がい者の方々について色々言及しますが、
理解のあまりない立場で色々話してしまうことになるため、誤解や偏見が入り混じってしまっている可能性があります。
気をつけて書いているつもりですが、不快に思われた方がいれば申し訳ありません。
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映画の概要:娘以外の3人が聾唖の家族。娘は音楽の夢を持ってしまう

映画の概要を簡単に説明します。
タイトルの「CODA(コーダ)」は、「Children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。
引用元:「コーダ あいのうた : 作品情報 - 映画.com」

父、母、兄、妹の4人家族が中心で映画は進みます。
主人公は、妹のルビー。
ルビー以外は、全員が聾唖(聴覚障がい者)です。
聴覚障がい者にも色々な段階があるらしく、
私が小学生の頃クラスメイトにいた聴覚障がいの友達は「ぼんやり聴こえる」とのことでしたが、
この家族については、後ろで怒鳴っても気づかないレベルに「何も聴こえない」ようです。
父・兄・ルビーの3人で毎朝午前3時から漁船に乗って漁に出るのが家族の仕事。
漁船が受信した無線を取るのも、海上保安官からの注意に応じるのも、港で卸業者とのやり取りや価格交渉をおこなうのも、全部健聴者であるルビーの仕事。
兄は、妹に依存せざるを得ない現状を不満に思っており、ヘソを曲げたり健聴者と同じように振る舞おうとしてうまく行かずにトラブルになったり、常にイラついています。
父や母はルビーに頼りきり。
医者の付き添いもさせ、「インキンタムシだから薬を塗って、しばらく夫婦のセックスは控えてください」みたいな医者の指示もなんの抵抗もなく通訳させます。
常に家族の面倒と漁、そして学生生活に疲れているルビーですが、「これが私の人生なんだ」と半ば納得・諦めのような感情を持っているようでした。

そんなある日、気になる男の子と同じ選択クラスに入りたいがために合唱クラスを選択したルビーですが、
それをキッカケに、担当教師から音楽の才能を見出され、自身も音楽の魅力に取り憑かれていきます。
教師から「音楽の大学へ進学すべきだ。学費も出るし、俺もサポートする」と口説かれ、その気になるルビーですが、
音楽がどんなものかわからない両親は彼女の夢を理解できないし、「残された私たちはどうするの」と、彼女の夢より現状維持を望んでしまいます。
兄はそんな状況に苛立ってばかり。

家族を憎んでしまい、衝突してしまうルビー。
一度ルビーが漁に出るのをボイコットして兄と父・監査員のみで漁にでた時、運悪く海上保安官の取り締まりに遭い、健聴者なしで船に乗ることを固く禁じられ、更に家族にとってルビーは必要不可欠な存在になってしまいます。

ルビーは夢を諦めて家族とこれからも生活や仕事を共にすることを受け入れますが、合唱発表会にてルビーの歌に感動する観客を見た家族の感情に変化が生まれます。

・・・というお話。
ざっくりほぼ全部話してしまいました。

映画の特徴①基本、下ネタが多い

壮大な感動映画のような印象を受けますが、あくまで軽いノリで映画は進んでいきます。
音が聴こえないからこそ自分たちの出す音にも無頓着な両親が、娘の隣の部屋ででかい音を出して愛し合ったり、
オナラをスカしっ屁にする発想がなく、でかい音を出してオナラをしたり、
ルビーの友達が、兄を気に入ったため手話でアプローチをしたがった際に、「ヘルペス持ち」という意味の手話を口説き手話として教えたり。
そんな、「あるある(?)」ネタがクスッと笑えます。

映画の特徴②聴覚障がい者の役は本当に聴覚障害者の俳優が演じる。故に物凄い

この映画の特徴ですが、聴覚障がい者の役は、全て聴覚障がい者の役者が演じています。
故に、手話がバリバリネイティブで、迷いがない。
なので、全然手話がわからない私たちにもスッと入ってきます。
これを見ると、日本の映画やドラマで見る手話ってたどたどしいなあ・・・と感じます。ほぼ健聴者が演じている場合が多いですから仕方ないですが・・・
この映画で、「手話に感情を載せる」という技を初めて見ました。
手話越しに溢れんばかりの感情が伝わってくるのです。
関連トピック: 妹に手話で「怒鳴る」兄の演技が物凄い

この映画の印象深いシーン

妹に手話で「怒鳴る」兄の演技が物凄い(この映画で一番凄かった)

家族のために夢を諦めてしまうルビーに、兄の怒りは爆発します。
兄はこのままじゃいけないと分かっており、同時に、自分ではどうしようもない現状に絶望しています。
このままルビーが妥協をして家族を優先してしまえば、今後更なる試練が訪れることも分かっています。それでもどうしようもない。
そんなやりきれない思いをルビーに対して兄がぶつけるシーンがあるのですが、
本当に、全身で怒り・悲しみ・絶望・その他膨大な感情を表現していて、本当にすごかったです。
大きな音を出すわけでもなく画面には静寂が流れているのですが、
絶叫されているような衝撃がありました。
手話で話しているのに、怒鳴られているような感覚。
手話で「怒鳴る」という新しい表現方法は初めてで、このシーンは一番印象に残りました。

合唱発表会を聴覚障がい者の視点で観るシーン。この瞬間、映画の主人公は娘→父親に代わる

娘の合唱発表会を家族で観覧するシーン。
最初の大勢の合唱シーンは、音が聴こえない家族の集中力は散々。
家族同士で手話で会話して、ボタンが外れかけて気になるだの、壇上から遠く唇も読めないから司会者が何を言っているのかわからないだの、ほぼ関心なしなのが伝わってきます。
しかし、次のシーンで一気に雰囲気が変わります。
ルビーとボーイフレンドのみでのデュエット曲目が始まった瞬間、壇上では歌声が響いているはずなのに、いきなり映画全体が無音になります。
そして、父親の視点になります。
聴覚障がい者の見る世界っていうのは、我々は映画を見る中で十分想像できていたはずですが、
壇上で歌っているはずなのに静寂が流れているというシーンで、思った以上に聴覚障がいのある人にとっての歌というものを思い知らされます。
口がぱくぱく動いているだけ。何も聴こえない。そりゃ、娘が音楽の夢を持っても理解するのは難しいよなあという感じでした。
しかし、集中できないが故に、父親の目は観客に向かいます。
うっとりと聞き惚れる客、思わず涙を流す客、スタンディングオベーションで感動を示す客・・・。娘の歌は聴こえない。でも、娘の歌声が人の心を動かしていることは、ハッキリと感じることができたのです。
このシーンから、ほぼルビー一人の視点で進行していた映画だったのに、父親の視点が加わります。
個人的な考察ですが、このシーンから主人公は父親になったのではないかと思います。
発表会後家に帰り、父親は娘に「俺のために歌ってくれ」とお願いします。
普通に歌っても歌声は届かないため、娘の顔に触れて大声で歌ってもらうことで、振動や表情から懸命に歌を感じようとする父親。
(映画最初の方のシーンで、若干伏線はありました。父親は車で爆音のラップソングを流すのが好き。ズンズン体に響くと、少し音楽を感じられるみたい)
懸命な双方の歩み寄りで娘の歌を感じることができた父親は、娘の夢を認めようと決心します。

家族に歌を「聴かせる」シーン。

家族の協力のもと、音楽大学の歌唱試験で審査員の前で歌うところまで漕ぎ着けたルビー。
娘の歌の夢を理解することにした家族は、試験の会場に潜入して娘の歌を見守ることにします。
会場の隅にいる家族の姿を見たルビーは、歌いながら手話で歌詞を表現して、家族に歌を「聴かせる」ことに成功します。

私はこの映画を見るまで想像力が欠如しており、
予告編でルビーが手話で歌詞を表現しているシーンを見てこう思っていました。
「手話で歌詞表現してどうすんの?字幕で歌詞映したり、詩を書き起こして筆談するのとなにが違うの?」
それは、生まれつき聴覚障がいを持った人が「どのように世界を見ているのか」全く理解していなかったからだと思います。

(こっから先も、単なる個人の考察で、的外れかもしれません。ご了承ください)

音を聴いたことがない人が想像する音楽って、我々が思う以上に難しいものなのかもしれません。
まず、音に高低があることすらわからないかもしれない
一人一人が発する声に個性があることすらわからないかもしれない。
声や音に、強弱や抑揚があることすらわからないかもしれない。
手をパンパンと叩いた時の音と、太鼓をドンと叩いた時の音の違いすら想像できないかもしれない。

そんな人々が考える音楽って、想像以上に掴めない謎の存在かもしれません。

単に歌詞を手話で表現するだけであれば、
ニュース番組のバリアフリー放送で、キャスターの横でおこなわれる手話とあまり変わりはないと思います。
しかし、ルビーの歌に沿った手話の動きは、メロディラインや抑揚や感情を表現することに成功しているように見えました。
生まれてからずっと、家族のために手話を自分の言葉として扱ってきたからこそできた表現だと思います。
兄がルビーに感情をぶつけた時に「手話で怒鳴る」という表現を私は感じましたが、
このシーンのルビーからは「手話で歌う」という表現を感じました。

振り返れば、小学生のころ、何かの取り組み(学習発表会かな?)で、合唱曲を手話つきで歌うということをしたことがあります。
教科書だかプリントだかに書いてある手の絵を手本に「この歌詞の時はこの手の動き」みたいな感じに練習して、本番までになんとか形になってはいたのですが、
この映画を見た後だと本当に形だけだったなあと実感しました。(仮に聴覚障がいの人がその出し物を見たときにどう感じるのかはわかりませんが)
まず歌詞を解釈して、自分の言葉で手話に変換して、そして受け手に向けて伝えるための表現を考えて、という過程を踏まないと、
本当の意味で、聴覚障がい者の人に歌を「聴かせる」ことは不可能だと個人的に思います。
小学生の私たちがやっていたことっていうのは、所詮「歌を説明する」ことに過ぎなかったんじゃないかなーと。
まあ、本当に手話をネイティブレベルに使える人にしかできない技だと思うので、小学生の出し物にそれを求めるのはお門違いだとは思いますが。

とにかく、家族に歌を「聴かせる」ことに成功したルビー。
大学に合格し、家族とも本当の意味で理解しあうことができたハッピーエンドでした。
ルビーが独り立ちしたあとの家族がどうなったのかはよくわかりませんが、うまくいきそうな雰囲気になっていたので、おそらく大丈夫でしょう。

まとめ

私は健聴者です。
この映画を語るにあたり、聴覚障がい者の方々がどのように世界を見ているのかをいろいろ考察する必要があり、
中には「偏見」と受け止められてしまったり、不快に思われてしまうような表現がないとも言えません。(気をつけて書いてはいます)
間違いや誤解を広めてしまうような記載があった場合、指摘していただけると幸いです。

映画の中盤で、母がルビーに対して本音を話すシーンがありました。
「あなたが生まれて、健聴者だと伝えられたとき、悲しかったの。理解し合えないと思ったから」
4人の中で唯一健聴者だったルビーはマイノリティーであり、他の3人からの疎外感を感じていましたが、
社会に目を向けるとルビーだけがマジョリティであるため、3人もルビーから逆に疎外感を感じていたのかもしれません。
この映画では、お互いがお互いの世界に対して歩み寄ることで、少しずつ理解し合うことができました。
家族や聴覚に限らず、これは世の中のさまざまなことに言えると思います。
現在はマイノリティを尊重する流れが加速しており、その分マジョリティからの反発も激しく、世の中は分断されつつあるように見えます。
お互いがお互いの立場を主張して理解を求めることもとても大事だと思います。でもそれは現実問題とても難しいです。
停滞した状況を解決するには、互いがこの映画のように理解するよう努力することがそれ以上に重要だと思います。
割と平凡な答えではありますが、忘れがちなことを教えてくれたこの映画にはとても感謝しています。

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映画 2022/03/21morishi